責任者インタビュー

Interview

EV責任者インタビュー

EV

未来のモビリティ社会を実現する
SMAS発EVビジネスを成長へ

営業戦略本部長補佐(EV推進) 兼
EV&カーボンニュートラル戦略推進部長
中村 憲治

先駆けてEV推進に乗り出したSMASが描く未来のモビリティ社会

2009年、SMASが業界に先駆けEVを推進したのは、私たちが目指す「クルマ社会の発展と地球環境の向上に貢献」という経営理念に合致するテーマだったからです。当時、日本の自動車メーカーからEV車が登場しました。地球温暖化や環境問題が深刻化する中で、走行時にCO2を排出しないEVの登場は持続可能なモビリティ社会の未来を予感させました。以来、業界や官・民の枠を超えた連携と協業を推進してきました。EV用充電インフラ整備・EVサービスの事業会社との連携にも積極的に取り組み、環境省の有識者会議や全国自治体のEV推進委員メンバーとなって全国各地での実証実験にも参画。私たちはプレーヤーとしてたくさんの試行錯誤を重ねてきました。

カーボンニュートラルモビリティ社会の実現に向けてEVは最適な切り札の一つ

EVシフトは社会構造の変革が求められるもので、必ずしも一直線に進むものではないと考えています。東日本大震災以降の節電の高まりで失速し、やがて海外市場を起点としたEVブームが始まりますが、またここにきてインフラ整備の困難さ、車種数が増えないなどを背景に低迷を危惧する声も多く出てきています。
未来予測が困難なこの時代でも、「何が変わって、何が変わらないか」を見極める感性を持つことが重要だと考えています。変わらないのは、走行時にCO2を排出しないEVが、現時点でもカーボンニュートラルの実現に向けた最適な切り札であるということです。私たちは「EVはサステナビリティという普遍的な課題への一つの解決策である」という認識を2009年以来、一度も変えていません。未来を生きる世代のために、私たちはEVを成長ビジネスに育て上げる覚悟を持って取り組んでいます。

EVでお客さまの経営課題を解決に導くモビリティプラットフォーマーとなる

2024年、SMASはEVシフトに向けた大きな一歩を踏み出しました。EV事業推進の中核である当部は、モビリティ推進本部から、営業戦略本部に組織編入されました。これは企画開発から発展拡大のフェーズに突入することを意味します。モビリティ社会の新しい景色を生み出すには、多様な能力、価値観を持つ人財が不可欠です。そこでエネルギー分野や海外で活躍してきたキャリア人財、新しい価値観や柔軟な発想をもたらす女性や若手などダイバーシティを動力源とできる組織構成へと人員強化を図りました。また、欧米のフリートマネジメント会社Arval※1・Element※2とのアライアンスを活用し、サステナビリティ経営や優れたEVビジネス事例を吸収しながら国内外事業に活かしていくグローバルネットワークも強化しています。既に、メンバー全員がEV提案を打ち出せる営業体制が全国で整い、活動が始まっています。成功のカギは、お客さまと同じ視点を持ち、お客さまの事業強化につながるEV活用ストーリーを語れるかにかかっています。また、昨今の経営課題は環境対応のみならず、市場変革、人手不足、高齢化、働き方改革、あるいは為替リスクなど多岐にわたります。私たちはお客さまの立場に立ち、経営課題の解決に貢献できる独自の提案活動を展開していきます。これまでSMASはEV推進の先頭に立ち、周辺サービスも含めた体制を構築してきました。その強みと知見を武器に私たちが目指すのは「サステナブルな社会に向けたモビリティプラットフォーマー」です。サステナブルな未来へつながる、SMAS発のEVビジネスにご期待ください。
※1 Arval Service Leaseの略 ※2 Element Fleet Managementの略

EV戦略

SMASを取り巻く外部環境

政府は2030年までにEV普及に不可欠な充電インフラを30万口設置、2035年までに乗用車新車販売の電動車比率100%の目標を掲げ、種々の補助金スキームを構築しています。
足元においては、EVシフトの失速を示すような動きが見えていますが、EV化は気候変動問題の緩和策であり、充電環境が整備されるとともに、日系自動車メーカーのEVモデルラインナップが拡充されれば、EV化も加速すると見込んでいます。
※EV、FCV、PHEV、HEV

SMASの現状と課題

当社グループは保有管理台数約102万台、約4万5千社の顧客に対し、主業として自動車リースを提供していますが、レンタカーやカーシェアなども組み合わせた車両台数最適化サービスも提供しています。2023年度までにすでに110社以上のお客さまの車両稼働状況を分析し、最適化提案を行っています。稼働率の低い車両を減らし、削減できたコストを原資にEV導入を促進することで、気候変動への対応スピードを加速させ、脱炭素社会の実現に貢献しています。
当社は、全国約2万社のメンテナンス工場と提携をしており、EV対応を進めています。充電環境のみならず、メンテナンスサービスも拡充させ、お客さまが安心してEVを利用できるようにしています。また、リユースEVの実証実験を実施しており、脱炭素化を推進する自治体向けにリユースEV活用の有効性およびリユースEV活用を支える仕組み、サポートのあり方を検討しています。
サステナブルな社会の実現に向けて、新車EVに加え、リユースEVの可能性追求も重要なテーマととらえています。

推進体制

当社は、EVと融合した「モビリティプラットフォーマー」への進化を目指し、法人のお客さまや自治体のEV導入を支援するために、「EV&カーボンニュートラル戦略推進部」を設置しています。
EV&カーボンニュートラル戦略推進部は、お客さまを担当する各営業部店と連携し、お客さまのEV導入から運用までの一貫したワンストップサービスの企画・立案、各自動車メーカーと連携したEV車のプロモーションなどを行っています。
また、EVの特性を活かした、リユース、リサイクルなど長期的な利活用につながる新たなサービスも検討しています。

ステークホルダーとの協創

当社は、住友商事株式会社、三井住友フィナンシャルグループおよび三井住友ファイナンス&リース株式会社とともに、カーボンニュートラル推進を起点としたEV事業スキーム、ならびにEVとEV周辺事業との連携に向けた協業を推進しています。さらに、2023年には欧米のフリートマネジメント会社Arval・Elementと3社間の戦略的アライアンス契約を締結しました。本提携は、 ArvalおよびElementという創設パートナーに加えて、当社を含めた提携会社9社によって構成され、世界5大陸の56か国で事業を展開しています。今後、さらなるグローバルネットワークの強化に向け、連携を進めてまいります。

財務責任者インタビュー

財務

新たなクルマ社会の実現に向けて 強固な財務基盤で持続的成長を支える

執行役員 本社部門(経理部・財務部)担当役員
橘 淳

財務リスクを軽減する安全性重視の資金調達体制

サステナビリティ経営において財務の果たすべき役割は、資金の流れを維持し、持続的成長と安定的な経営を支える強固な基盤を構築することです。その中心にあるのが、安全性を重視した資金調達です。当社は、金利リスクを軽減し堅実な資金確保につながる長期固定金利による資金調達を主に行ってきました。長く続いた超低金利時代は日本銀行の金融政策転換で終焉を迎え、今後、「金利のある世界」への対応が重要になると考えますが、私たちは金利上昇を見通して、2023年度後半から長期固定金利での資金調達を先行して行い、足元を固めてきました。同時に、営業資産(主に自動車リース)の満期到来状況に合わせて借入の期間等を設定するALM(AssetLiability Management:資産・負債総合管理)を徹底しています。流動性リスクに対しては、十分な金額の当座貸越契約やコミットメントライン契約を締結していることに加え、取引金融機関は全国約70行におよび、返済・借り換えのタイミングも分散させることでリスクをミニマイズしています。コロナ禍の社会情勢では、パンデミックや半導体不足の影響で自動車生産が大幅に遅れ、当社のリース事業においても新車入替が停滞しました。その結果、リース料やメンテナンス料などの収入が車両代支払などの支出を上回る状態が続き、借入金の返済を進める状況になりましたが、各行との協議を通じてバランスを取ることで、将来に向けた良好な取引関係の維持に努めました。

多様なステークホルダーと一体となり、新たなクルマ社会の実現を目指す

当社は、EVを今後の主要ビジネスと位置づけ、自動車リース業界におけるEV推進役となるべく事業活動を行っています。また、EVはカーボンニュートラル実現に向けた最大の解決策の一つと確信していますが、その市場を拡大するにはお客さまがEVを選択しやすい環境や選択肢を増やしていくことが不可欠です。そこで、IoTやAIを活用して、燃費向上やリース台数の最適化、安全運転につながる多角的なモビリティサービスも展開してきました。
資金調達手段の多様化を図るため、2018年から自動車リース業界初となる公募社債を発行しています。社債について投資家にご案内した際に、当社の環境配慮型車両普及促進の取り組みが国際的なグリーン適格基準にも適合するとご評価いただいたことをきっかけに社内で検討を進め、2020年にグリーンボンドの発行に至りました。さらに、高度な交通事故削減サポートなどを実現するために当社がパートナー企業と共同開発したモビリティサービス「SMAS-Smart Connect」が社会貢献につながるサービスであることから、2021年にはそれに用いる車載器の購入資金を使途に加えたサステナビリティボンドを発行しました。
これらの資金調達の手法は、より安全で環境にやさしいクルマ社会の実現に結びつくことはもちろん、投資家の皆さまは債券投資による収益を享受しつつ、投資表明を通じて環境・社会への貢献を積極的に示すことが可能となります。当社としても、サステナビリティへの取り組みに賛同してくださる投資家から広く支援を募ることができるようになりました。今後、サステナビリティボンドのプログラムを子会社にも拡大し、グループ全体でのサステナビリティ推進につなげていければと考えています。
SMASのサステナビリティ経営が目指すのは、自動車リース業界や自動車産業、さらには金融機関や投資家の皆さまと連携し、より大きく社会に貢献できるように自動車ビジネスを進化させていくことです。今後も、財務面からEV推進や関連事業をバックアップし、新たなクルマ社会の実現を目指してまいります。

財務戦略

SMASを取り巻く外部環境

気候変動をはじめとする多様な社会的課題の解決と持続可能な社会の実現に向けて、金融が果たす役割がますます重要視されています。金融機関や投資家が、企業の業績だけでなく、ESG(環境、社会、ガバナンス)の視点を考慮して投融資を行うことで、ESG課題解決のための資金の流れを生み出していくというサステナブルファイナンスが拡大してきています。このような動きをさらに加速させていくための取り組みが官民を挙げて行われています。サステナブルファイナンスの推進には、資金調達を行う企業の情報開示の充実が不可欠です。そのため、上場企業や公募社債発行企業に対しては、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示が義務化されています。

SMASの現状と課題

当社は、2020年にグリーンボンドを発行しました。資金使途は、グリーン適格基準を満たすハイブリッド自動車、EVおよび燃料電池自動車の新規購入資金に限定しています。当社がこれらの環境性能の高い車をリース車両としてお客さまに提供することに加え、エコドライブの啓発、適切なメンテナンスの実施、低燃費タイヤの利用などを総合的かつ継続的に行うことにより、走行時のCO2排出量削減を支援しています。
2021年には、環境改善と社会貢献の双方を目的としたサステナビリティボンドを発行し、資金使途に、モビリティサービス「SMAS-Smart Connect」用の車載器購入資金を加えています。これらの車載器を使用した当社のサービスは、お客さまの安全運転を支援し、人とモノの移動に関する安心・安全な社会の実現に寄与しています。
当社はこれらESG債を継続的に発行していますが、毎回多くの投資家から投資表明(当社の取り組みに賛同し、社債を購入したことを公表すること)を得ています。
ESG債の発行には、第三者評価取得、資金使途確認、定期レポーティングなどの負 担が生じますが、当社の取り組みに対する投資家からの評価も高く、長期安定資金の 確保や当社経営への信頼を高めるなどの点でサステナビリティ経営推進に役立ててい ます。

今後に向けて

サステナブルファイナンス推進の動きは今後も続くと予想されます。開示基準や評価基準に関する国際的な動きは絶えず変化しており、新たなファイナンス手法も登場しています。最新の情報を常に把握し、適切な開示を行い、金融機関や投資家からの信頼に応えることが重要です。また、新しいファイナンス手法を研究し、活用可能なものは取り入れていきたいと考えています。
持続的な成長を達成するためには、金融市場が不安定なときでも揺るがない強固な財務基盤が必要です。これにより、投資を中断することなく、SDGsに向けた取り組みを続けていくことが可能になります。当社は、長期、固定金利での調達を中心とした安全性重視の資金調達を今後も続けていきます。さらに、調達ソースの多様化を進め、流動性枠を十分に確保し、返済・償還期日の分散を図ることで財務リスクの抑制に努め、サステナブルな事業拡大を支える基盤を強化していきます。

人財責任者インタビュー

人財

挑戦する個が活躍できる人事改革でSMASの持続的成長につなげる

常務執行役員 本社部門(人事部・総務部)担当役員
渡部 慎一

新事業を担う人的資本の拡充でサステナビリティ経営を加速

オートリース業界のリーディングカンパニーとして成長を続けてきたSMASですが、モビリティ社会の到来、少子高齢化やDXなど社会環境の変化に合わせて、人事や組織のあり方も大きく変わるべき時を迎えています。SMASがこれからの時代を生き抜く上での最大のエンジンとなるのは「人」です。挑戦を恐れず、変化を歓迎する社内カルチャーを強化し、時代に合ったスキルや資質を備えた多様な人財を育成することが、サステナビリティ経営における最重要課題の一つだと私は考えています。今後のSMASはオートリース事業を基盤に、EVやモビリティサービス、自治体連携、グローバル展開などで事業を拡大していくことになります。そこに社員が高度なスキルと挑戦心を持って切り込んでいけるよう、ITリテラシーや専門スキル、語学やリーダーシップ力を高める研鑽の場を多く提供し、意欲ある社員を積極的に登用していく人財配置を進めていきたいと思っています。

個の活躍を生み出す人事基盤を多角的に整備し、実効性を高める

私が現職に就いたのはコロナ禍の2020年4月、急速なワークスタイルの変化に合わせて、既存のテレワーク制度の拡充に加え、スーパーフレックス、レンタルオフィス利用制度などフレキシブルな勤務形態を確立してきました。これらと並行して全社員対象の「働きがい実態調査」を実施し、人事制度への評価や社員のキャリア観、働き方や社内風土について社員の声を直に吸い上げ、全社的なBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)など、合理的かつ新しい時代の働き方にふさわしい人事施策の改革にもつなげてきました。
その総仕上げとして今年度から新人事制度をスタートさせています。社員がより高いパフォーマンスを発揮できる環境をつくるために、年次や所属などに縛られず、経験やスキルに応じて新たなポストや待遇を得られる社員登用の仕組みを導入。今年度は総合職を対象としますが、来年度には事務職にも適用範囲を広げ、人財抜擢やプロフェッショナル化を進めたいと考えています。また、将来の経営幹部候補やグローバル人財育成を視野に、全社目線を持ち、事業連携や経営志向を身につけることができる部門間ローテーションの活性化も図っていきます。
社員の自律的キャリア形成を支援する自己申告制度も導入しています。社員が自身のライフ&キャリアプランを上司や会社に申告し、希望や資質に沿った能力開発や配属に結びつける仕組みです。この制度の実効性をより高めていくためには、社内公募やOFF-JT研修など、既存の人事制度の運用も見直していく必要があります。社員が手挙げしやすい環境、研修内容を現場で実践できる機会を提供し、より社員一人ひとりのキャリア形成を重視した人財マネジメントを強化していきたいと考えています。
多様な人財が活躍できる組織にすべくD&I推進も続行中です。昨年度は外部から40名近いキャリア人財を採用しました。女性活躍推進においては、採用強化や女性管理職候補者の育成体制の充実を図り、この先3年間で女性管理職比率をさらに高める基盤が整いつつあります。こうした個の活躍は、SMASの持続的成長に直結するとともに、クルマを取り囲むさまざまな社会課題に解決をもたらすサステナビリティ経営の実現にもつながっていくものです。その実現のために、私たち人事・総務部門もこれまでの枠組みにとらわれることなく、社員それぞれの活躍の場を創出する人事改革を実行していきたいと考えています。

人財戦略

SMASを取り巻く外部環境

現在、日本は出生率の低下と高齢者人口の増加により世界でも有数の"少子高齢化社会"となっており、これによる労働力人口の減少という課題に直面しています。また、デジタル技術の進展や脱炭素化に向けた環境問題への対応も急速に進んでおり、人財の一層の高度化・専門化も不可欠な状況になっています。
いつの時代も人財は企業にとって最も重要な資産ですが、持続的な企業活動のためには人財の確保と育成は従来にも増して重要なものと考えています。

SMASの現状と課題

当社は、多様な人財が個々人の強みを最大限に活かしながら働くことを目指した職場主導・社員主導の働き方改革「Workstyle Evolution Project」(通称:ワクエボ)、またハラスメントがなくすべての役職員が自分らしく働くことができる健全な職場を目指した「Good Workplace」活動を行っています。
また、取り巻く環境の変化や役割概念をふまえた「目指す姿」に向かって会社と社員の双方が継続的に成長するための仕組みとして、「成長し続ける組織と、挑戦し続ける人財を後押し」と「プロフェッショナル意識の醸成」の2つを基本コンセプトとした新人事制度を2024年4月から導入しました。
人権や人財育成に関する課題は、D&I尊重、女性活躍推進、ワーク・ライフ・バランス確保、長時間労働是正、ハラスメント撲滅、能力開発、公正・公平な評価など多岐にわたり、その進捗にはバラツキがあります。特に、サプライチェーン全体における人権デューデリジェンスは今後の大きな検討課題と考えております。

今後の推進に向けて

当社は、人権や人財育成に関する以下の基本方針を昨年新たに策定しました。

(人権基本方針)
私たちは、人権尊重の取り組みにあたって適用される各種法令を遵守するとともに「国際人権章典」および「国際労働機関」等の国際基準を尊重、支持します。また、「国連グローバル・コンパクト10原則」に賛同し「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて活動します。グループすべての役職員が人権尊重の責任を果たすよう努めるだけでなく、サプライヤーを始めとする取引先や事業パートナーに対し、本方針への賛同と理解、実践を求め、関与するバリューチェーンにおいて、ともに人権尊重を含む社会的責任を果たすよう働きかけていきます。

(人財育成基本方針)
私たちは、サステナビリティ経営で求められる人財像を打ち出し、企業の成長と社会の課題 解決に貢献できる人財の育成に注力します。

(社内環境整備基本方針)
私たちは、D&Iに則り、平等な機会と尊重の文化を通じて、公正で公平な社内環境を提供し、個々の成長と組織の繁栄を支えることに積極的に取り組みます。

(労働安全衛生基本方針)
私たちは、従業員一人ひとりの安全と健康を守るために、継続的に改善する仕組みを構築し、安全で快適な職場づくりを目指します。

昨年度策定した基本方針を社内で共有し、今まで行ってきたことを地道に継続することに加え、日々変化する環境に対して柔軟でスピード感ある対応を行うことを通じて、課題解決に向けた取り組みを着実に実行してまいります。

ガバナンス/コンプライアンス&リスク管理責任者対談

SMASの成長と持続可能性を実現するコーポレートガバナンスの強化へ

小林 英生
常務執行役員 本社部門担当役員(法務部、審査部、債権管理部)兼 CRO 兼 CCO 兼 コンプライアンス・業務支援室長

阪本 正人
執行役員 本社部門担当役員(経営企画部、広報部、サステナビリティ推進部) 兼 経営企画部長

成長と持続可能性を両立するSMASのコーポレートガバナンス

(阪本)
コーポレートガバナンスのあるべき姿とは、企業の成長と持続可能性を両立させることだと私は考えています。そのために私が果たすべき役割は三つ。一つ目は事業環境の変化に機敏に対応すること、二つ目は社内全体にガバナンスを効かせる仕組みを強化すること、三つ目はステークホルダーとのコミュニケーションを活性化し、社外にSMASの価値や魅力を伝えていくことです。

(小林)
コーポレートガバナンスの中でも、コンプライアンス遵守は企業価値向上に直結すると私はとらえています。企業防衛のためだけでなく、社員の意識を向上させ、企業風土改善につながるものです。また、企業の持続可能性を考えたとき、リスク管理も重要なテーマです。従来のリスクはもちろん、ESGに関連する多様なリスクも対応していく必要があります。CCO(ChiefCompliance Officer ) と CRO ( Chief RiskOfficer)を兼務する私の役割は、俯瞰的な視点に立ち、健全な成長を阻害する要素を排除する管理体制を確立していくことだと考えています

(阪本)
CCO、CROはまさに俯瞰的な立場から組織全体に横串を通せる統率者だと思います。SMASの企業姿勢が問われる事案が生じたとき、全社的な視点から総合的に判断し、各部門で連携してスピーディに対応する体制づくりが不可欠です。

企業価値の向上へとつなげるコンプライアンス&リスク管理体制

(小林)
SMASのコンプライアンスは、法令のみならず社会規範や倫理、道徳も含まれ、広範囲にわたります。私の役割として、違反や逸脱を未然に防ぐための監督・管理体制の強化が第一です。ただし、一方的に遵守を命ずるだけでは組織の硬直化にもつながりかねません。自分たちが安心して働けて、お客さまや社会の評価につながると認識してもらうための教育や情報発信も大切だと考えています。
また、リスク管理では、リスクを適切に評価する目が必要だと考えています。リスクをすべて避けて通れば、事業活動そのものが萎縮するおそれが出てきます。例えば、投資にあたっては投資先のリスクを評価しなければなりませんが、事業の成長フェーズでは、あえてリスクをとるべき局面もあります。コンプライアンスとリスクの管理体制を成長のドライバー(推進力)としてSMASに定着させたいと考えています。

(阪本)
コンプライアンスやリスクは「守るもの」「避けるもの」という姿勢だけでなく、成長にどうつなげるかという視点を私たちは重視しています。SMASでは「コンプライアンスマニュアル」や「総合リスク管理規定」として明文化し、適切に対応していく枠組みを構築、さらに「コンプライアンス・業務支援室」を創設しました。

(小林)
コンプライアンス・業務支援室では、社員がコンプライアンス遵守の重要性を理解し、適切な行動がとれるよう、定期的な教育・研修、所管部署のマネジメントを行っています。また、問題が発生したとき、影響を最小限に抑えて解決・改善につなげる仕組みとして、「事件・事故発生時の即一報」制度、「コンプライアンス・デスク」制度を導入しています。
事件・事故発生時の即一報制度では、経営に影響を与えかねない事案が生じたら、所管部署から直ちに法務部・経営企画部の担当に報告します。経営に影響を及ぼすと判断したら、即座に取締役会へ報告します。さらにステークホルダーに影響が及ぶと判断されれば、株主に報告する制度です。

(阪本)
平時における取締役会や経営陣への定期的な報告と並び、不芳事案をいち早く吸い上げ、迅速に対応できる体制を整えています。稀に各部署から「これは即一報に相当する事案でしょうか?」と問い合わせがくることがあります。そのときは、「その迷いが生じた時点で報告してください」とお答えしています。

(小林)
何より報告が上がってくることが大切です。コンプライアンス・デスクでは、ホットライン、指定弁護士、SCコンプライアンス事務局など4つの窓口を開いています。リスクは顕在化してから対応に回るのでは後手となりやすい。わずかな兆候の段階から、原因解明と改善に乗り出していくのが、私たちが目指すところです。阪本 内部統制においても、業務規則を仔細に定めています。社員も最初は大変かもしれませんが、これが社員を守り、お客さまの信頼を守るものだと私は考えています。健全性を維持する仕組みとして、引き続きしっかり運用していきたいと思います。

守りと攻めの両輪をドライブしてサステナビリティ経営を実現する

(阪本)
SMASではコーポレートガバナンスを重視してきましたが、事業・社会の変化などに合わせ、時代ごとに見直していく必要があります。とりわけ昨今、ESG経営が重視されるようになり、社会的価値や責任が問われる時代になってきました。

(小林)
一部の自動車関連会社の不祥事が相次いでいますが、これを自分事としてガバナンスを強化すると同時に、クルマへの信頼回復や期待醸成に果たす役割を考えていくときだと思います。クルマの価値や使われ方も多様化していますが、SMASもデータ活用やEVなど新たなモビリティサービスの開拓に乗り出しています。

(阪本)
市場の変化をとらえ、新たなビジネスのチャンスをつかみとる----変化の荒波に漕ぎ出していくには、一方でコンプライアンス遵守とリスク管理という手綱をしっかり握っていくことが欠かせません。幸いにして、私たちには堅実な経営基盤と高い技術力、優れた人財という強みがあります。これらを適切に生かせるガバナンスを発揮することで、「サステナブルな社会に向けたモビリティプラットフォーマー」へ進化が可能になると思います。

(小林)
さらに私たちの会社は、住友商事と三井住友フィナンシャルグループ、三井住友ファイナンス&リースという株主によって支えられています。それぞれの企業が世界基準でトップレベルのガバナンスを発揮しており、私たちも同等に近い高水準が求められます。それが競合他社と比較したとき、業界のトップランナーとして私たちの強みともなっていますね。

(阪本)
また、当社は有価証券報告書を発行しており、上場企業と同等のガバナンスを目指しています。この高い基準は、SMASの企業価値の向上にもつながっています。
加えて、サステナビリティ推進はさらに加速し、EV事業化など急展開しています。ESG経営の視点からサステナビリティを事業に取り込む組織体制も整い、全社で展開するフェーズに突入しています。サステナビリティ経営は、結果的にコーポレートガバナンスの強化にもつながっていくと思います。

(小林)
ガバナンスをしっかり効かせて、社員全員に意識浸透を図っていくのが、私たちのミッションですね。企業経営で大切なのは、「守り」と「攻め」の両輪のバランス。コンプライアンス遵守やリスク管理は「守り」ですが、企業価値向上という「攻め」に最終的にどうつなげるか----SMAS独自の挑戦を続けたいと思います。